『UNDERTALE』メタトン「Oh Yes!」の真相と秘話
メタトン oh yes――地底世界を揺るがすあのダンサブルな重低音と、画面いっぱいに広がる眩しい美脚のシルエット。世界中のゲーマーを歓喜と困惑の渦に巻き込んだあの名シーンは、社会現象を巻き起こした名作『UNDERTALE』における屈指のクライマックスだ。怪しい長靴を履いた人型ロボットが放つ圧倒的な存在感は、初見プレイの衝撃からどれほどの年月が経過しても色褪せることがない。
単なるギャグキャラの枠にとどまらず、プレイヤーの記憶に鮮烈なインプリントを残したメタトン oh yesの決め台詞。その背景には、作者トビー・フォックス氏の緻密なゲームデザインと、80年代ポップカルチャーへの溢れんばかりのリスペクトが隠されている。ドット絵という限られた表現の中で、なぜこれほど強烈なスター性が生まれたのか。地底世界の絶対的アイドルが誇る演出の元ネタから、緻密なキャラクター造形、そして現在進行形でファンを魅了し続ける関連情報まで徹底的に解き明かしていこう。
決め台詞「Oh Yes!」の真相と演出の元ネタ

変身のスイッチが押された瞬間、重厚な効果音とともに響き渡るボイスサンプル「Oh Yes!」。ゲーム内でも異彩を放つこの音声は、作者であるトビー・フォックス氏が音源ライブラリから厳選し、独自にピッチやエフェクトを加工して生み出したものだ。無機質なロボットの電子音と、生々しく官能的なボイスのギャップが、一瞬でプレイヤーの意識を釘付けにする。
この演出のバックボーンにあるのは、1980年代のグラムロックやポップスターたちの過剰なセルフプロデュース文化である。デヴィッド・ボウイやプリンス、マイケル・ジャクソンといった伝説的アーティストが見せた、ナルシシズムと圧倒的エンターテインメント性の融合。メタトンが披露するハイレグ風の衣装やポージング、そしてスポットライトを独占する演出は、テレビの黄金期における海外バラエティ番組やディスコブームへのオマージュに満ちている。
アルフィーが込めた想いとメタトンEX変身の裏側

メタトンの存在を語る上で欠かせないのが、地底世界の王立研究員であるアルフィーの存在だ。もともと実体を持たない幽霊(ゴースト)だったメタトンは、「自分だけの身体を手に入れ、大衆の前で輝くスターになりたい」という強い渇望を抱いていた。その夢を叶えるためにアルフィーが設計したのが、頑丈な四角いボディ、そして真の姿である「メタトンEX」だ。
しかし、この美しくドラマチックな変身劇の裏には、アルフィー自身の孤独や承認欲求、そして主人公(人間)との関係性を演出するための密かな自作自演が絡み合っていた。エンターテインメントの光と影、スターとしての狂気と孤独。ふたりの歪ながらも切ない絆がストーリーに深みを与え、単なる敵キャラクターを超えた愛すべき存在へと昇華させている。
弾幕シューティングRPGとしての斬新な視聴率システム

『UNDERTALE』という作品がただのレトロ風RPGにとどまらない最大の理由は、独自の戦闘システムにある。一般的なターン制コマンドバトルに、弾幕を避けるアクション要素を融合させた「弾幕シューティングRPG」というジャンルにおいて、メタトンEX戦は最高峰のエンターテインメントとして完成されている。
この戦闘のユニークな点は、敵のHPをゼロにすることではなく、「視聴率(RATINGS)」を一定以上に上げることが勝利条件のひとつになっている点だ。ポーズを決めて歓声を浴びる、アイテムを使って衣装を変える、攻撃にあえて当たってスリルを演出するなど、プレイヤー自体が番組の「演者」として振る舞うことが求められる。ゲームシステムそのものがショーの一部と化す仕掛けは、ゲームデザインの革新として今なお高く評価されている。
日本ローカライズを支えた有限会社ハチノヨンとFangamerの貢献
英語圏で誕生した本作が日本国内でこれほどの爆発的ヒットを記録した背景には、ローカライズを担当した有限会社ハチノヨンの卓越した翻訳手腕がある。メタトンの強烈なオネエ言葉やハイテンションな決め台詞、そして絶妙なユーモアのニュアンスは、日本のポップカルチャーに馴染む形で巧みに再構築された。
さらに、ゲーム外でのファン体験を拡張し続けているのが公式グッズを展開するFangamerの存在だ。メタトンのアクリルスタンドやTシャツ、さらには豪華なフィギュアやCDなど、ファンの所有欲を満たす高品質なアイテムが次々とリリースされている。デジタル世界から飛び出したスターは、リアルの世界でも揺るぎない人気を確立しているのだ。
Nintendo SwitchやSteamで愛され続ける理由とDELTARUNEへの布石
現在、本作はNintendo SwitchやPC(Steam)をはじめとする主要なプラットフォームで手軽にプレイできる環境が整っている。初見のプレイヤーはもちろん、幾度も周回プレイを重ねるコアファンにとっても、メタトンとのバトルは常に最高の見せ場であり続けている。
また、トビー・フォックス氏が手掛ける最新プロジェクト『DELTARUNE』においても、メタトンの影響や存在を示唆する要素が随所に散りばめられている。別世界線でありながらもどこか繋がっているキャラクターたちの関係性は、ファンの間で活発な考察を呼び起こしており、メタトンというスターの物語は過去の思い出ではなく、現在進行形の文脈として生き続けている。
インディーゲーム業界に刻まれた地上最強スターの真価
小規模な開発体制から生まれ、世界のインディーゲーム業界に金字塔を打ち立てた作品群の中で、メタトンほど強烈な個性を放つキャラクターは類を見ない。ドット絵と音響演出、そしてプレイヤーの感情を揺さぶるゲームシステムが見事なハーモニーを奏でた時、画面の向こうには本物のエンターテイナーが立ち現れる。
「Oh Yes!」というたったひとつの叫びに込められた熱狂と美学。それは、ゲームというメディアが持つ可能性の大きさを私たちが再確認するきっかけを与えてくれる。地底世界から届いた最高峰のショータイムは、これからも時代を超えて、世界中のゲーマーの胸を躍らせ続けるはずだ。 (出典: メタトン oh yes(Yahoo!ニュース))